受動と能動のあいだ

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能動的、受動的どちらが理想的?

色んな場面で、受動的な姿勢よりも
能動的な姿勢が評価されやすい傾向にあるなと思います。

能動的に仕事ができたり、
能動的に学んでいった人の方が得るものも多く、
その経験を自分のものにしやすいと言われます。

逆に受動的な人は包容力があって
言われた通りのことを素直に行うため、
こちらの体質の方が好ましいと言われる場合もあります。

しかし、本当に能動的な姿勢でいることが理想的で、
受動的な姿勢はそうでないのでしょうか。

あるいは、能動的な姿勢より受動的な人の方が
まじめで成長させやすいのでしょうか。

そもそもこの能動と受動とで
きれいに人の行動はわけられるものなのでしょうか。

ここでは能動的ともいえるし、
受動的ともいえる姿勢について詳しく見ていきます。

どちらかの状態が理想的である、
とする見方をしていて良いのかどうか、
一度考え直してみるきっかけをつくれたらいいなと思います。

能動的・受動的

まず能動的な姿勢とはどのような姿勢を指しているのでしょうか。

能動的な人は、とりあえず自分の経験を
増やしていこうとして、
自分から進んで何かを行う人とされます。

人から言われて動くのではなく、
とりたてて具体的な指示がなかったとしても
自分で考えて、行動できる人。

いわば主体的に行動する人の姿勢こそが
能動的な姿勢とされています。

その反対に、受動的な姿勢とは、
周りからの指示を受けてその指示通りに動く姿勢を言います。
受け身の考え方で、相手に触発されて動くという側面が強調されます。

どちらかの姿勢が好まれるケースがあれば、
もう一方の姿勢が好まれるケースもあり、
一概にどちらの姿勢がいいかということは言えないかと思います。

「自ずから」の状態

ここでさらに強調しておきたいのは、
能動的であり、受動的でもある状態が存在するということです。

このどちらでもある状態を「自ずから」
の状態と表現するのが最も適切だなと感じています。

この「自ずから」の状態とは、
能動的に動くこともしていて、
なおかつ受動的にもふるまっている状態です。

こんな状態は果たして存在するのか、
という疑問があるかもしれませんが、
そもそも人間の行動理由は白黒はっきりしないことが多いですよね。

感情においてもそれほど区別することはできないように、
きれいに姿勢を二分化できるものではないのは確かです。


簡単に区別のつかないものであるからこそ、
この「自ずから」性が能動と受動の間で
ひとつの新しい心理的な状態となっています。

「自ずから」を詳しく

では、具体的に「自ずから」とは
どのような状態でしょうか。


簡単に言えば自分の意図をなくした状態でありながら、
それでいて自分の内側の根幹部分から湧き出る動きの
なすがままに行動する状態、というのが当てはまります。

能動的に動く場合は、周りの状況を客観的に見て、
「このように行動しなければ」という自分の意図のもと動きます。

しかし、この「自ずから」の場合は
そういった自分の頭で意図した状態を指すわけではないです。


自分の内側から勝手に湧き出る、
つまり受動的に勝手に湧いてきた根源的な指針
を受け取りながらも能動的に行動している状態を言います。

たとえるならば、自分の好きな内容であれば
勝手に文章を書く筆が進むような状態でしょうか。


頭で考えた「意図」や「はからい」ではなく、
自分自身の根っこのようなところから湧き出た
ような感情にそって動く感じです。

このような状態こそが能動的な姿勢と受動的な姿勢
とを併せ持った「自ずから」の姿勢と言えるのではないでしょうか。

イメージとしては水性絵の具をティッシュににじませた時に、
じんわりと絵の具がしみこみつつ広がり動いていくような状態です。

能動的に動いたり、受動的な姿勢を維持したり、
どのような姿勢でものごとに取り組むかは
各人の好みによりその活動内容にも大きく反映されることでしょう。

能動的な動きをする人は活発な結果が得られ、
受動的な行動指針の人は周りの意見を反映させたような、
調和のとれた成果となるでしょう。

私個人は「自ずから」を大切にした姿勢で
ものごとに取り組みたいなと思います。

実際、なかなかこのような
「自分の根源的なところから湧き出る」
動きというのは体感しづらいのです。

ですが、
ふとしたときにこの状態は訪れます。

なかなか体験できない場合が多いためか、
そのときに得られるものはかなりなもので、

実際文章を書いている際にこの状態になると
独自性や個性が強調されつつも、
読者さんのニーズに合ったような文章が生まれることが多々あります。


「自ずから」の状態、あるいは姿勢を
意識するともしかしたら新たな発見があるかもしれません。

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